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マルティン・ルターはなぜ讃美歌を作ったのかールターの思想と音楽

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今日は、マルティン・ルターがなぜ讃美歌を

作曲したのかについて探究してみたい。

 

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マルティン・ルターの番人司祭主義(思想)

 

まず最初にこちらの動画をご覧いただきたい。

 

マルティン・ルターは

言わずと知れた宗教改革者であり、

プロテスタントの創始者であり、

「聖書主義」「万人司祭主義」

唱えた方として有名である。

 

当時のカトリック教会の免罪符を用いた

資金集めの方法に疑念を持ち、

「95か条の論題」をヴィッテンベルクの

教会の扉に貼ったところ、

その行為が当時のカトリックを

揺るがすほどの大事件となった。

 

自らの主張を貫いたルターは

バチカンのローマ教皇から破門され、

消息を絶ち名主に匿われることになったのである。

 

マルティン・ルターは、

時の教会権力の全体主義的な傾向と、

教会建設のための資金集めとしての免罪符に、

神が許しを与えたもうのではなく、

人間が許しを与える免罪符を

人間心で発行するのは越権行為であると考え、

カトリック教会の堕落に対し、

異議を唱えたのであった。

 

賢公フリードリヒ3世にかくまわれていた間、

ルターは、ラテン語で書かれていた

「聖書」を万人が読めるように、

母国語のドイツ語に翻訳して出版したのだ。

 

それ以前に、グーテンベルクによる

活版印刷の発明があって

なされたことではあるが、

ドイツにおいても

一部の聖職者のみが聖書を読み、

それをカトリック的解釈で

信仰者に伝えていたが、

組織が大きくなると難しい面も出てくる。

 

ルターは、母国語ドイツ語に「聖書」を翻訳し、

万人が司祭である、免罪符によってではなく、

「人は主への信仰によってのみ許しを得る」

「神の言葉としてのイエス・キリストのみに従う」

というメッセージを投げかけたのだ。

 

なぜルターが讃美歌を作曲したのか

 

そして、プロテスタントの流れにおいて

ルターが成したこととして、

カトリック教会の典礼で

ラテン語で歌われていた

聖歌を、母国語のドイツ語で、

合唱団のメンバーだけでなく、

教会に集う信者みんなが歌うことを目的とした

讃美歌を多数作曲したのである。

ルターはまた、礼拝における

音楽の重要性を理解していました。

ルターの考え方の大きな特色は、

とにかくその時、教会に集った

人たちすべてが礼拝に参加すべきだ

というところにありました。

そのため、プロテスタントの教会では

オルガンが積極的に導入されました。

オルガンの響きに導かれて、

専業の聖歌隊だけではなく、

祈るために教会に来た人たち皆が

歌うことを許されたのです。

引用:三枝成彰著『驚天動地のクラシック』P.64

 

ルターが提唱した礼拝の特徴の一つに、

讃美歌の重視がある。聖職者によって

ラテン語で歌われることの多い

カトリック教会の典礼歌と異なり、

ルター派では民衆が理解できる

ドイツ語で、しかも民衆に親しみやすい

メロディの讃美歌を、礼拝に集った会衆

全員が朗々と歌えるよう力が注がれた。

礼拝に集う人々が直接に自らの意志で

神を賛美してほしい、

という考えのゆえだった。

引用:小宮正安著『名曲誕生 時代が生んだクラシック音楽』P.50

プロテスタントが結束を強めたのは、

教会において集った者皆で歌う讃美歌、

「コラール」の一体感も

重要な役割を果たしたのではないだろうか。

 

とくに宗教改革の代表的人物である

マルティン・ルターが作曲した

ドイツ語の「コラール」は、

シュッツ、バッハブラームスなどの

ドイツ・プロテスタント音楽の源流

ともなり、その後のヨーロッパ音楽の

流れ全体にわたって深い影響を

与えることになった。

さらにフランスのユグノー派の人達

による産業活動の活発化は、

市民階級(ブルジョアジー)の台頭

をうながし、教会の扉を出た

コンサート音楽の発生を

準備することにもなったのである。

引用:相良憲昭著『音楽史の中のミサ曲』P.129

 

また、ルターが推奨した「コラール」は、

ドイツのプロテスタント教会音楽から

バロック音楽の発展に大きな影響を及ぼし、

思想的源流となったのである。

 

さらにいえば、ミサ曲はカトリックの

宗教会議によって定められたテキストに

基づいているのに対し、教会カンタータ

では自由にテキストが用いられる。

しかも、定型文であるミサ曲と

くらべると、神と人間との関係を、

「神」の目線よりもむしろ

「人間」の目線から描き出す。

そうした特徴もまた、カンタータが、

一部の特別な人間だけでなく、

一般人を対象にしたルター派の姿勢を

如実に映し出す宗教音楽だったことの

証となっている。

(またこのような意味で、ルターもまた

「個人」の存在の重みに着目がなされる

ようになったルネッサンスの申し子だ、

といえるかもしれない。)

引用:小宮正安著『名曲誕生 時代が生んだクラシック音楽』P.51

そして、

全体主義的となりがちな

カトリック教会よりは、

ルターが唱えた当時、

民主主義的で個人主義的であった

プロテスタントの思想は、

神の恩寵という思想、

神の召命(ベルーフ)としての仕事、

勤勉な精神を宿す信仰者によって受け継がれ、

市民階級の台頭により

発展していくことになったのである。

 

 

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ルターの讃美歌「神はわがやぐら」

 

あらためて、

ルターはなぜ讃美歌を作曲したのだろうか。

中世の教養科目であった自由学芸の一つ

として音楽を学んだルターは、

古くから伝わる祈りの歌の数々を

ドイツ語に訳し、信徒たちが歌いやすく

なるのを助けるとともに、

自らも「神はわがやぐら」など数十曲

もの讃美歌を作り、神の教えをより

民衆に親しみやすくすることに

貢献しました。

こうしてドイツのキリスト教徒たちに

よって歌われるようになった讃美歌は

「コラール」と呼ばれ、広く

ヨーロッパ中に親しまれるように

なっていきました。

ルターが聖歌をその当時の一般大衆に

わかりやすい言葉に書き換えたこと

によって、キリスト教はいっそう

広まっていったと言えます。

引用:三枝成彰著『驚天動地のクラシック』P.65

 

ルターは

ドイツ語で讃美歌を作曲したことで、

神の教えをより

民衆に親しみやすくするため

に貢献したのである。

 

ここで、実際にマルティン・ルターが作曲した

「神はわがやぐら」のドイツ語の

讃美歌映像をご覧いただきたい。

 

このコラールを聴いて、

キリスト教になじみがある人ではなくとも、

この讃美歌の聖なる波動、

信仰心による神への賛美の美しさを

感じずにはいられないだろう。

 

この「神はわがやぐら」の日本語訳は

以下のような言葉になっている。

 

1 神はわがやぐら わが強き盾 苦しめる時の 近き助けぞ おのが力 おのが知恵を 頼みとせる 陰府(よみ)の長(おさ)も など恐るべき

2 いかに強くとも いかでか頼まん やがては朽(く)つべき 人の力を われと共に 戦い給(たも)う イエス君こそ 万軍の主なる 天(あま)つ大神(おおかみ)

3 悪魔 世に満ちて よし威(おど)すとも 神の真理(まこと)こそ わが内にあれ 陰府の長よ 吠え猛(たけ)りて 迫(せま)り来(く)とも 主の裁きは 汝(な)が上にあり

4 暗きの力の よし防ぐとも 主の御言葉こそ 進みに進め わが命も わが宝も 取らば取りね 神の国は なおわれにあり

 

なんという力強き言霊であろうか。

戦前の訳ではあろうけれども、

短い歌詞のなかに強固な信仰の盾、

真理への確信の念いが込められている。

 

この歌詞を教会に集う皆で歌うことで、

心が浄化され、信仰者の強さが増したのであろう。

 

ではなぜ、宗教家のルターが、

「コラール」という讃美歌を数多く作曲したのか。

 

それは、音楽は神の御業であり、音楽によって

神と一体となることを信じていたからである。

 

コラールの歌詞においては、

主を賛美し、信仰による聖なる言葉を用いて、

天上の旋律に乗せて歌うことにより、

神の光を宿すように作られている。

 

コラールによって主を讃え、

主と一体となり、

主を祝福することにより、

心が浄化され、信仰心が高まり、

聖なる聖霊がそば近くに来られると

信じていたのであろう。

 

マルティン・ルターが音楽の力を信じ、

「コラール」によって多くの人々に

救いをもたらしたことを知り、

現代に忘れられている

音楽の霊的意味を再認識した次第である。

 

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ありおん

Aoide Production代表。”文化の創りかた”ブログ管理人。 Vyond、Premiere proで動画制作|HP制作|楽曲制作|ブログ|新しい文化をカタチに!仕事依頼はAoideProductionホームページをご覧ください。

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