今日は、古代ギリシャの哲学者、
プラトンと音楽について探究してみたいと思う。
私は、古代ギリシャの中でも
哲学者プラトンの時代に
非常に思い入れがある。
私塾の学園アカデメイアを開校したのが
プラトンでもあるのだが、
この古代の理想の学園に、
ロマンと郷愁を感じるのは
私だけではないだろう。
ソクラテスの弟子プラトンは、
ソクラテスに10年程度師事し、
28歳の頃ソクラテスが毒杯を仰いで
刑死した。
30代では、アカデメイア設立の同志を
集めつつ、初期の対話篇を編纂していた。
そして40歳頃にアテナイ郊外の北西の
自分が持っていた土地に、アカデメイアを
設立したのである。
プラトンが考える音楽とは<音楽の名言>
まずは、そのプラトンが残した言葉で
音楽の格言といわれるものを紹介したい。
Music gives a soul to the universe, wings to the mind, flight to the imagination and life to everything.
音楽は、世界に魂を与え、精神に翼をあたえる。そして想像力に高揚を授け、あらゆるものに生命をさずける。Music is the movement of sound to reach the soul for the education of its virtue.
音楽は、美徳の教育のために魂に伝える音の動きである。引用:名言倶楽部
音楽は、世界に魂を与え、
精神に翼を与えるのである。
想像力を高揚させ、
あらゆるものに生命をさずけるのが
音楽なのだ。
プラトンがどれほど
音楽を重要視していたかが
分かる格言である。
そのなかでも、
音楽は、魂の教育、
美徳を身に付けるための
教育に有効であると
考えられていた。
プラトンの音楽と体育による魂の教育<名言>
そのプラトン(前427-前347)は、
音楽におけるピタゴラスの思想を継承していた。
音楽を「魂の調和」を促すものと考え、
「教育」に取り入れようと取り組んだ。
そして、「音楽」(魂・精神の訓練)と
「体育」(身体の訓練)の2つの調和を
重要視したのである。
古代ギリシアのアテナイ市民は,「ソロンの法」により,その男子を体育と音楽によって教育すべきことが規定されていた(皇 1969, p.14)。
戦争の準備としての身体的訓練から生じた体育文化と,神への祈りを捧げる歌舞から生じた精神文化の発展は,体育と音楽からなる教育課程を形成するに至った(佐藤 1969, p.ii)
(3)哲学としての音楽
『国家』には,異なる性質をもつ「音楽と体育」が相互に補足しながら魂に働きかけ,魂を調和するという,プラトンの教育論が示されている。「音楽」と「体育」をうまく混ぜ合わせ,魂の調和を計る人こそ,もっとも完全な意味で音楽的教養のある人であり,よき調和を達成した人である(Plato Republic, - 55 -411E-412A 邦訳 藤沢)。
ここでは,この意味での「音楽」が,知を求め,魂をよくする「哲学としての音楽」と解釈できる。
この考え方は、
古代ギリシャの賢人ソロンの時代から
あったようで、
「ソロンの法」により、
アテナイの市民は
体育と音楽による
教育を受けていたのだ。
「音楽と体育」が相互に
補足しながら魂に働きかけ,
魂を調和することが、
プラトンの教育論だったのである。
すべての若者たちの本性は、火のようにはげしいものだから、身体の面でも音声の面でもじっとしていることができず、たえず無秩序に声を立てたり、飛びはねたりしている。
だが、それら運動と音声両面での秩序の感覚は、ほかのいかなる動物もこれを身につけてはいないが、人間だけが生まれながらにこれを所有している。
さらに、運動の秩序にはリュトモスという名称が与えられ、他方、音声の秩序には、高音低音がいっしょに混ぜられると、ハルモニア―という呼び名が用いられ、それら運動と音声の二つの秩序をひとまとめにしたものが、歌舞と呼ばれる。
引用:プラトン『法律』
若者の本性が本来火のように
激しく無秩序であるために、
運動の秩序を身に付けるために
リズムが学ばれ、
音声の秩序を身に付けるために
ハーモニーが学ばれた。
この運動と音声の秩序が
合わさって、歌舞となったと
言われている。
Rhythm and harmony find their way into the inward places of the soul.
リズムとハーモニーは、魂のもっとも深いところに至る道を持っている。引用:名言倶楽部
音楽のリズムとハーモニーは、
魂の教育のために欠かせないものであり、
魂の深い部分に影響を及ぼすもの
として考えられていたのだ。
プラトンの名言にみる理想の教育の姿とは
ここで、プラトンが語る興味深い一節を紹介する。
「よい語り方であること、よいハルモニア―であること、よい形状であること、よいリュトモスであること、これらは人のよさにともなうものである。
ただしそれは、おろかさのことを体裁よく「人がよい」というときのそれではなく、文字どおりの意味でそのエートスがよく美しくかたちづくられている心のことだ」
引用:プラトン『国家』
ここでは、
・良い語り方であること
・良いハルモニア―であること
・よい形状であること(容姿?)
・よいリュトモス(リズム)であること
これらはすべて「人の良さ」に関わるもの
であると言われている。
この「人の良さ」とは、
エートス(習慣・特性)が
よく美しく形作られている心
であるということである。
これは、
「良い語り方」や
「良いリズム」、
「良い形状」、
「良いハーモニー」という要素が
美しく調和された精神を養う
ということでもあろう。
さらに、公的な場での表現
という意味で観たならば、
よき演説をする政治家でもあり、
よき歌を歌う歌手のようでもあり、
ここに政治と芸能に共通する
理想の教育の姿を
垣間見ることができるのではなかろうか。
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