「それまでは前進あるのみ。」
スタン・リーは、自分のコラムの
結びに、いつも”Excelsior!”と
書いていました。
エクセルシオール。
「さらなる高みを目指す」
という意味の古い言葉です。
その一言だけで、
この人の輪郭が
少し見えてくる気がします。
皆様、こんにちは。
今日は、
マーベル・コミックスの顔であり
数多くのヒーローを生み出した、
スタン・リーについて
探究してみたいと思います。
スタン・リーの名言と伝記にみるヒーロー誕生秘話
最近、Wiredに
スタン・リーの
興味深い記事が載っていました。
引用:「Stan Lee 英雄の革新―
私は、スタン・リーの経歴については
よく知りませんでした。
ただ、どのようにして
数多くのヒーローを生み出したのかには、
とても興味がありました。
高校卒業後はコネを頼りに
タイムリー・コミックス社
(後のマーベル・コミックス)で
雑用係として働き始めた。
当時、コミックは「文化の
トーテムポールにおいて
最下段にあった」と、
リーは2000年に
ニュースサイト「IGN」に
語っている。
リーの仕事は、アメコミ作家の
ジョー・サイモンや
ジャック・カービーのために
インクを補充し、
コーヒーを運ぶことだった。
引用:「Stan Lee 英雄の革新―
スタン・リーの生涯で驚いたのは、
その入口です。
高校卒業後、
後のマーベル・コミックス社に、
最初は雑用係として
働き始めました。
そして、
アメコミ作家のためにインクを補充し、
コーヒーを運ぶ仕事をしていたんですね。
コミックは、その時代の
文化のトーテムポールの
最下段と思われていました。
その状況のなかで、
雑用係からチャンスをつかみ、
脚本を書くようになったのです。
雑用係をやりながら、
アイデアを練り、
脚本の構想を考える。
チャンスをつかむ準備が
できていたからこそ、
チャンスの女神の前髪を
掴んだのでしょう。
54年には米国上院議会で
公聴会が開かれた。
こうしてコミック業界は、
かつて政府に嗅ぎ回られた
メディア業界と同様、
圧力に屈したのだった。
15の出版社が
アメコミから手を引き、
残った者はコミックス
倫理規定委員会という
新しい監視役に
従うことになった。
委員会の定めた倫理規定は
実にバカげていた。
「善は悪に勝たなければ
ならない」
「結婚は神聖なものである」
「犯罪者に同情してはならない」
そんな話を
つまらなくさせるような
規定ばかりが定められた。
引用:「Stan Lee 英雄の革新―
コミックの歴史を紐解くと、
映画もそうだと思いますが、
戦争が終わった時代から
刺激的な暴力やセックスや
ホラーなどが
流行るようになりました。
アメリカのこの50-60年代に、
逆にモラルを取り戻そうと、
焚書坑儒のようなことが行われ、
倫理規定が制定されたのです。
マーベル・コミックの
ヒーローものにある
勧善懲悪のストーリー。
あれは最初、
「善は悪に勝たなければならない」と
委員会が定めた倫理規定の
流れでもあったということ
だったんですね。
ここでは、
ファンタスティック・フォーを
生み出した時のリーの記録を
紹介しています。
リーの記録によると、
彼は何日間か
メモをとりながら
あれこれ考え、
核となるアイデアを
出したのだという。
悪役たちは、
同情すべき存在でも、
危険で暴力的であっても
ならず、
説得力のある脅威も
もたせてはならないと
倫理規定が言うのならば、
物語のウェイトは
ヒーローに背負ってもらう
ことにしよう、と。
DCコミックスの
人気ヒーローが、
神や支配者、
自信に満ちた白人男性だった
一方、リーの
クリエイティヴチームは
社会ののけ者が
望みもしない能力を得る
物語に魅せられた。
そこでリーは、
ヒーローに「苦悩」という
新たなスーパーパワーを
与えた。
引用:「Stan Lee 英雄の革新―
リーのヒーロー作品では、
物語のウェイトをヒーローに
背負ってもらう。
そうすることで、
倫理規定の縛りを
乗り越えられたのです。
そして、
社会ののけ者が望みもしない
能力を得るという設定など、
ヒーローに「苦悩」を与えて
ストーリーに深みを出したのです。
神や支配者ではなく、
社会ののけ者を主人公にする。
禁止の多さが、かえって
マーベルらしさを
決めたのかもしれません。
スタン・リーは、
潜在意識に訴えるメッセージを
ストーリーに込めることを
心掛けていたということでしょう。
そして、
偏見と人種差別という
その時代のアメリカの社会問題に、
コミックという武器で
戦っていたのだと
いうこともできるのかもしれません。
そして締めくくりの言葉
”Excelsior!”について、
スタン・リー自身の言葉が
残っています。
「僕のモットーは
『エクセルシオール
(Excelsior)』。
これは古い言葉で、
『常に向上し、前進し続け、
さらなる高みを目指す』
という意味で、
ニューヨーク州の
モットーでもあるんだ。
来るべきときが来たら
辞めればいい。
それまでは前進あるのみ。
永遠に続くものは
ないのだから」
(2014年、『Playboy』誌にて)
また、
マーベル・コミックスの特徴である
「シェアード・ユニヴァース」。
次のように語られています。
リーが多くのシリーズに
直接関わったことで、
「シェアード・ユニヴァース」の
概念も明確になったと言える。
(中略)
しかし、
マーベルのコミックが人気を
得て洗練されていった
60年代を通して、
リーはその概念を推し進め、
連続性と継続性を
もたせていった。
ある作品で起きたことが、
そこだけでなく、
ほかのすべての
シリーズにも影響を
与えるようにしたのだ。
注目すべきは、
それらのストーリーが
いつまでも続いていくことだ。
リーは連続ドラマの鍵を開け、
現在まで延々と続いている
フランチャイズ作品の
基礎をつくったのだった。
「シェアード・ユニヴァース」は、
スタン・リーが数多くの作品に
直接関わったことから
生まれたものです。
多数の作品がある世界観を
共有したり、
あるイベントが他のシリーズにも
影響を与えたりします。
その方法を編み出したというのは、
興味深い内容でした。
スタン・リーのストーリーが
魅力的なのは、
一つには悪役の存在感があります。
そして、
スタン・リーのクリエイトする
映画のストーリーには、
根底にあるテーマがあります。
実は新しい新約聖書のような
宗教的教訓を、
伏線や暗喩などを用いながら
描いているのです。
何が正しく何が間違っているのか。
何が天国で何が地獄か。
それを人々や子供たちに
教えたいという願いが
込められています。
スタン・リーの名言にみる真のヒーローの条件
最後に、
スタン・リーの名言から、
真のヒーローの条件について
あらためて確認します。
「彼らに多様性を
持たせたかった。
X-MENの根底には、
すべての偏見をなくしたい、
誰にでも良心はあるという
思いがあった」
(2013年、
『Comicbook.com』にて)
X-MENの根底には、
すべての偏見をなくしたい、
誰にでも良心はあるという
メッセージが込められています。
多様なるヒーローの奥底に
”偏見をなくし、
人々の良心を信じる”
という願いがあることが
うかがえます。
そうすべきだから、
それが正しいことだから
という理由で
疑問を持つことなく
他人を助ける人こそが
本当のスーパーヒーローだ。
引用:『スパイダーマン:
スパイダーバース』より:
スタン・リーの言葉
それが正しいことだから、
という理由で疑問を持つことなく、
自分の保身をかえりみることなく
他人を助ける人。
その人こそ
本当のスーパーヒーローだと
説かれています。
責任と勇気、そして
人助けと正義に生きる人が、
真のヒーローの条件なのです。
最後に、
スタン・リーが創った
ヒーローの一人である
スパイダーマン、
ピーター・パーカーの言葉を
紹介します。
「人生がどうなろうと
僕はこの言葉を忘れない。
大いなる力には
大いなる責任が伴う」
ピーター・パーカー
(スパイダーマン)
スタン・リーの描きたかった
真のヒーローに込められた願いが、
作品から伝わってきます。
それが、多くの人々に
愛され続ける理由では
ないかと感じます。
ヒーローとは、
特別な力を持つ人のことでは
ないのでしょう。
正しいと思うことを、
自分の損得を数えずに選べる人。
文化のトーテムポールの最下段から
スタン・リーが描き続けたのは、
そういう人だったのかもしれません。
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