今日は、音楽の力による奇跡現象について
探究してみたいと思う。
みなさんは、ギリシャ神話の
アムピーオーンをご存知だろうか。
ギリシャ音楽を探究するうちに、
ギリシャ神話に見る音楽について、
神話ではあるが一片の真理も含まれているのではないか
というふうに感じたので、少し触れておきたい。
アムピーオーンのギリシャ神話にみる音楽の力
アムピーオーンの神話は、こんなストーリーである。
ゼウスとアンティオペーの双子の息子であるアムピーオーンとゼートスは、小さいうちにその命をうばおうとする禍々しい力を避けるため、多くの英雄たちと同じように人里はなれたところで育てられた。キタイローン山中にて羊飼いたちによって育てられているあいだ、アムピーオーンはヘルメースから竪琴を与えられてかわいがられた。実用的なものにしか関心を示さないゼートスは、アムピーオーンが竪琴に入れあげているのを見て、そんなものは何の役にも立たないではないかといって彼をあざけった。しかし、のちにこの双子がテーバイを攻め落とし、市の城壁の増強に従事したときには、今度笑ったのはアムピーオーンのほうだった。竪琴の調べは石を動かし、何の苦もなくそのあるべき場所へと納めていったが、ゼートスのほうは自分の体を使って、こつこつと石を運んだのである。すなわち「七つの門をもつテーバイ」の城壁は、音楽の力によって建てられたのだ。
引用:『星界の音楽』
エル・カンターレの歴史観(『黄金の法』)によれば、
ヘルメスは4300年前のギリシャの英雄であり、
3600年前のゼウスの時代より
700年ほど前の存在であった。
ヘルメスの芸術性あふれる真理の教えが、
時代を経て衰え、化石化しつつあった時代に
ゼウスが生まれたと書かれている。
アムピーオーンがどの時代の存在なのかは
定かではないが、古代ギリシャの英雄たちが
時代を経て神話に盛り込まれたのであるとすれば、
語られた逸話に象徴的な意味があるか、
実際に起こったことが伝承として
伝わっていたのかもしれない。
この神話では、アムピーオーンは
”ヘルメスから竪琴を与えられてかわいがられた”
とある。
ヘルメスと時代が違う人物だとすれば、
ヘルメスの教えの音楽的真理や竪琴の秘儀などを
学んだ人物だったのかもしれない。
ギリシャ神話のなかに、ヘルメスがルーツの
音楽の力についての記述があり、
アムピーオーンが竪琴の調べによって石を動かし、
テーバイの門を建てたと書かれていることは、
非常に興味深い。
ピラミッドとストーンヘンジの共通点<音楽の力>
エドガー・ケイシーの生前リーディングには、
大ピラミッドについて
次のようなリーディングがある。
[ピラミッド]は、これらの鉄をも浮かせるほどの普遍的な法則と、自然の力を適用することによって建てられた。この法則によって重力は克服され、あるいはその効力を奪われるかもしれず、意志も空中に浮くことになろう。それゆえ、ピラミッドは歌や詠唱に動かされて空中浮揚によって建てられたのだ。これは、のちにイギリスのドルイド教の僧たちが巨大な石群を立てたのとまったく同じやり方である。
引用:『星界の音楽』
ピラミッドがどのように建てられたか
という謎は今でも数多くの研究がなされているが、
驚くべきことに
エドガー・ケイシーリーディングでは、
ピラミッドは歌や歌唱の力に動かされて、
空中浮揚(重力を克服する法則)
によって建てられたと述べている。
この話を多くの人々は
神話として一笑に付すかもしれない。
しかし、ギリシャ神話のアムピーオーン、
エジプトのピラミッド神話、
イギリスのドルイド僧のストーンヘンジ、
このどれもが音楽の力による
重力を克服する力によって建てられたと
語られている以上、
何か失われた音楽の力が
そこに存在していたと考えることは、
頭の狂った妄想とまでは
言い切れないだろう。
ヘルメス哲学からみたアムピーオーン神話と音の錬金術
アムピーオーンの神話については、
さらに、物理学と錬金術の比喩にたとえて
次のように語られている。
アムピーオーン神話の真に意味するところはこうだ。すなわち、自然が従っているのは、この物質界を支配しているように見え、また一般に知覚できる因果律(石は重い。ゆえに動かしがたい。といったような)ではなく、現実存在よりも一段と高い秩序のなかに永遠に存在している超越的な諸原則なのである。(中略)
ゼートスは物体についての明々白々にたる法則を固守することに満足している人ーいうなればニュートン主義者ーを代表している。アムピーオーンはその先まで見ていて、これは現代の物理学者たちが現在学びつつあることなのだけれど、自足した物質界のまごうかたなき実在などという考え方は一つの幻想でしかないことをすでに知っていた。それは、宇宙エネルギーが、あるいわひょっとしたら純粋に意識が、眼に見えている状態にしかすぎない。それを現出させる法則とは、実は音楽、ハーモニーの法則なのだ。この「非物質的」なレヴェルで何らかの操作をおこなうと、最初の運動からしてすでに絶大な効果を得ることができる。(中略)
アムピーオーンの技芸はおそらく、錬金術が科学にたいしてもっているのとまったく同じ関係を、日常的な力学に対してもっている。つまり一種の音の錬金術のようなものだったのだろう。
引用:『星界の音楽』
ニュートンが現代でいう
唯物論的物理学者であったとは思わないが、
(信仰を持ちオカルト・錬金術を研究していた)
アムピーオーンは
この3次元的物質世界の物理的法則を超えた、
霊的世界を含む「非物質的な」法則の一つ、
すなわち宇宙のエネルギーを統べる調和の法則を
知っていて、それを活用したのではなかろうか。
”音の錬金術”ともいうべきものが
あったのではないかという著者の推測は、
神秘学者にとっても音楽家にとっても
興味深いロマンであろう。
この諸事象の調和という教義は、「高きにておこることは、低きにてもまたおこる」というヘルメス哲学の格言ではじめて定義されたもので、宇宙のなかのさまざまな異なるレヴェルのあいだにみられる真のハーモニーあるいは共鳴を書きあらわしたものである。
引用:『星界の音楽』
ヘルメス文書のエメラルド・タブレットの
神秘思想のなかに、
「下なるものは上なるもののごとく、上なるものは下なるもののごとし」
という記述があり、
マクロコスモスとミクロコスモスの照応という宇宙観
(人間のなかに大宇宙の本性や能力が内在しており、また大宇宙そのものが一つの人間であるとして、両者が類比関係にあり、互いに影響をおよぼす動的な関係にあることを意味する。)
は、多次元宇宙の秘密そのものであろう。
この大宇宙を統べる調和の法則には、
三次元的物理学を超えた力があるとしても、
何ら不思議はない。
引き続き、ハーモニーの法則について
探究していきたい。
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