未来ビジョン・提言

『ニュータイプの時代』感想と逃げることへの考察

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今日は、『ニュータイプの時代』感想と

逃走論について探究してみたいと思う。

 

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ニュータイプの時代とは

 

山口周氏の『ニュータイプの時代』、

新時代を生き抜く24の思考・行動様式ということで

大変興味深く読ませていただいた。

 

6つのメガトレンド、

①飽和するモノと枯渇する意味

②問題の希少化と正解のコモディティ化

③クソ仕事の蔓延

④社会のVUCA化

⑤スケールメリットの消失

⑥寿命の伸長と事業の短命化

によって、これからの時代に訪れる変化の

トレンドが全体像として掴めたのが非常に良かった。

 

一つの問題について掘り下げているものはあるが、

包括的に時代の変化について語られているからこそ

実感が湧いてくるものがあった。

 

そして、24の項目について、

オールドタイプとニュータイプの思考法の違いを説いていたが、

僭越ながら図表の判別表では私はすべてニュータイプであった。

20代から何度か転職をしたからか、

一つの企業で一生という価値観に染まらず

生きてきたからであろうか。

 

そんなわけで、新時代に必要な思考方法について、

「なるほど!」と感銘を受けながら読み進んでいたのだが、

17の逃走論、

人生の豊かさは「逃げる」ことの巧拙に左右される

という章だけは、どうも引っかかって納得ができなかったのだ。

山口周氏は、

オールドタイプは”一箇所に踏みとどまって頑張る”

ニュータイプは”すぐに逃げて、別の角度からトライする”

という考え方の違いがあると説いた。

危機に際して「じっと耐える」「我慢してやり過ごす」のは、

個体の生存という観点からは非常に不利で、

幼少時から「逃げてはいけない」という規範を叩き込まれるが、

「逃げる」という行動は動物などの生物の生存戦略としては、

最も広範囲に用いられている戦略であるというのだ。

先読みが難しいVUCAな社会においては、

一所懸命に踏みとどまって頑張るよりも、

直観と美意識によってどんどん

「逃げる」ほうが良いという主張であった。

 

新しい時代、これまでの考え方が

通用しないということは分かるが、

この考え方を多くの人が選択した場合、

どんな社会になるのだろうか。

 

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人生の豊かさは「逃げる」ことの巧拙に左右される”について

 

この本のなかでは、個人のモビリティが高まり、

どんどん「逃げる」ようになれば

労働市場の流動性が高まり、

無意味なクソ仕事は残存できなくなり、

傍若無人な振る舞いを繰り返す

オールドタイプの権力を

維持できなくなると説かれていた。

たしかに、社会全体としては

このニュータイプの考え方を選択したほうが、

労働市場の流動性が高まり、

既得権益でがんじがらめになった産業が衰退し、

新しい産業が興りやすいという

意味ではよいかもしれない。

 

危機を回避するといういみで

”逃げる”ことを選択するニュータイプと、

沈む船に乗り続けて会社ごと

沈んでいくオールドタイプという視点であれば、

理解できる点もある。

 

ただ、個人としての考え方としてはどうなのだろうか。

人は、困難な状況において、

踏みとどまって忍耐することなく逃げてばかりでは

果たして人間として大成するのであろうか。

大事な局面で、重要な箇所を任されているときに、

逃げるようでは、

生存本能としては生き残れても、

プロのビジネスマンとしてどうなのだろう。

 

兵法として逃げるという選択肢もあるが、

兵法として踏みとどまる局面もある。

 

合理的判断で退却しなくてはいけない

局面であればその判断は正しいこともあるとは思う。

しかし、直観と美意識によって

「企業」や「仕事」から逃げるという考え方には、

危機感を感じる。

これは、なんというか日本の古い価値観であろうが、

武士道の精神とは逆に行く考え方ではなかろうか。

 

人間の魂修行という霊的視点から見ても、

物事をやり続けることの重要性もあるのでなかろうか。

 

最近の若者は(といってもいつの時代もだが)

会社に就職してもすぐ辞める人が多いと聞くが、

このニュータイプの考え方であれば

そうとう人材の流動化が起こるだろう。

 

私の私見としては、直観で逃げる

という生物の生存本能のような感覚は、

その本能を克服してこそ

人間の意志力が鍛えられると思うし、

すぐ逃げる人に、管理職となるために

必要な責任感は育たないのではないか。

困難に立ち向かって、チャレンジして

乗り越えてこその成長であるのではなかろうか。

 

・・・・という疑問は

自分自身でまだ解決がついていない。

しかし、ここまで書いて、

改めてニュータイプの考え方を見てみると、

”すぐに逃げて、別の角度から

トライする”と書かれている。

一旦体制を立て直して、

別の角度からトライするという意味であれば、

常勝思考にもつながる考え方でもあるのだろう。

 

そんなわけで、山口周氏の

『ニュータイプの時代』は、総論賛成、

各論としてふに落ちない部分があるが、

非常に名著だと思う。

示唆に富んだ著作に感謝し、

今後も山口周氏の著作に注目していきたい。

 

(追記)

この記事はWithコロナ時代以前に書いたものであり、

2023年現在の状況を鑑みると、

社会全体の経済構造の変化が激しくなる中、

日本型企業の終身雇用的な考え方と

滅私奉公的なマインドでは、

生き残れないと考える。

山口周氏の慧眼に敬意を表したい。

 

 

 

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ありおん

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